水星で発電を (1)


4ヶ月前に同じ題目の記事を書きました。水星に太陽光発電所を建設したら、面積あたりで地上に建設するよりも50倍の電気を得ることができるという話です。

もう少し真面目に整理してみようかと思いつつ少しずつ調べごとをしながら書いています。

* 水星で発電する10の理由

** エネルギー消費の 88 % は太陽からの遺産

2009年エネルギー白書(図221-1-2)によれば2007年における世界のエネルギー消費量は、石油 = 35.6%、ガス = 23.8%、石炭 = 28.6%、原子力 = 5.6%、水力 = 6.4% などとなっています。

このうち石油、ガス、石炭を合計すると約 88% になります。これらの資源は植物が蓄えた炭化水素を燃やしていることになります。何十億年にわたって植物が太陽の光を浴びることで、空気中の炭酸ガスを固定したものがもととなって、石油なり、ガスなり、石炭ができたと考えることができます。

今、人間がやっていることは過去何十億年にわたって太陽から得てきた貴重な恵を浪費することにあたります。なんだか先祖から譲り受けた莫大な財産をあっという間に使い果たしている愚か者に似ていませんか。

** 水力も太陽の恩恵

水力発電は、高い場所にたまった水を落っことして、その落差から位置エネルギーを電力に変換する仕組みです。

電力を得たあとの水について考えてみると、これは川を流れ落ち、海にいたります。そして、温められた水が蒸散して雲となり、これが冷やされると雨となって降ってきます。水力発電が大気の循環システムの恩恵に与っていることがわかります。

エネルギーの保存則から考えても、この仕組みのどこかで外部からエネルギーが供給されているはずです。それは、水を温めて蒸散させる太陽のエネルギーです。このことから、水力発電も太陽の恩恵に与っていることがわかります。

過去の太陽からの恵みにあたる化石燃料とあわせてエネルギー消費量の93.6%は太陽からの恵みにあたります。

** 新エネルギーも太陽の恵み?

エネルギー白書によれば、新エネルギー等とは基本的には「新エネルギーの利用等の促進に関する特別措置法」で定められた、石油代替エネルギーの促進に寄与するもので、具体的には以下が挙げられています。

– 太陽光発電
– 風力発電
– バイオマス
– 水力
– 地熱

このうち、太陽光発電はもちろん、水力発電と同様に地球の大気循環システムに依存する風力発電も太陽のエネルギーの活用ということになります。

バイオマスエネルギー、すなわち生物起源のエネルギーもその生物を育む上で果す太陽の役割を考えれば、概ね太陽由来のエネルギーと考えてよいでしょう。

するとこれまでのところ原子力と地熱だけが、太陽のエネルギーではない地球固有のエネルギーのように思えます。

水星で発電を(2)では原子力についても触れてみたいと思います。