The attitude of a photographer


この podcast のシリーズが評判らしいのではじめて眺めてみました.iTunes のリストで一番古かったというだけで選んでみたこのエピソードのテーマは「プロの写真家としての態度」というテーマです.言っていることを簡単にまとめれば

  1. ここで言っているプロとは生業としての写真業ではなく世間から尊敬を集めるような写真家を指すこと
  2. 自分の写真に自身を持ちつつ,鼻もちならない人間でいること
  3. 日々の研鑽を怠らないこと,ということになると思います.

実は,ポッドキャストで印象に残っているのは,内容よりもむしろその語りかたです.大事なことかもしれないけれども,たったこれだけのことに15分も費やしている.無駄口?そうかもしれません.でも,聞いていて飽きさせないから,いいんじゃないかな.ある一定の時間を飽きさせずに聞かせる話術ってすごいなって思います.

この人は写真家なんだよね?なのに写真もビデオも使ってません.語りのなかで,自分が読んだ本を紹介してますけれど,それを見せるわけでもなく.ひたすらビデオに向って語りかけるだけです.

自分のことを思い返すと,なにか話す機会があるとすぐにスライドウェアに頼ろうとします.PowerPoint を起動して,タイトルと名前を記入させられたあと,ほぼ空っぽのスタックに絶句しつつ,枯れ木も山の賑いとばかりに背景画像やらスタイルのなかから,できるだけ毒々しいものを選んだあと,どんどんスライドを追加して規定の時間を埋められそうなスライドの枚数に達すると安心して「できた!」と叫びます.

こういうスライドの作りかたをすると,話の準備の仕方がどうしても足し算になってしまいます.表紙にどんどん継ぎ足していくうちに,長年,建増しを続けた温泉旅館のようなになってしまう.いざ,話し出すと,聞いている側は全体の道筋がよく見えないから,今見ているスライドの次にどこに話が(飛んで)行くのか見えないから,聞いていて不安になってしまう.というか,トークショーをしているんだかスライドショーをしてるんだかわからなくなってしまいます.どっちが主役かってことね.

足し算の話と関係があるのだけれども,スライドのメッセージというものも大事なんです.前述のポッドキャストの場合,メッセージを要約すると上にまとめた通りだと思います.一定の話を聞いたあとで「要するに何が言いたかったの?」と言いたくなるような話はつまらないですよね.

実は,昨晩,うちの学生さんたちが自ら企画して,研究室のなかで初めてライトニングトークのイベントをやったんです.支度もすべて学生さんがやってくれて,時間になったら呼びに来てくれました.飲み物やおつまみも周到に準備してくれてました.よくやった,すばらしい!概して楽しかったです.これまで知らなかった面を垣間見ることができて,仲間意識もこれまで以上に高まったように思います.この勢いでこれを続けましょう.

そのなかで,気になったのが少なからぬ学生さんが「スライドに書くことがなくって」とかつぶやきながら,いろんな話題をトークに盛り込んでいたこと.これって足し算の発送?新人の歓迎会という事情も関わって,「自分のいろんな面を紹介しなくっちゃって」いう意識もあったんでしょうね.これまで見過していた面を知ることができて,僕もためになりました.昨夜,明らかになったことの一つに,実は研究室のなかで木管奏者が多くて,サックスを吹ける人がいるから,ジャズセッションを組めそうなこと.

それはそれとして,メッセージをひとつに絞って,それについて深く語ってくれた方がライトニングトークとしては上出来なんじゃないかなと思いました.今回は初めての挑戦でしたけれど,また,やるんですよね?来週.盛り上がっていきましょう.

写真家のメッセージじゃないけれど,なにごとも日々の研鑽が大切です.