公開されたばかりの TeX Live 2015 をさっそくインストールしてみました。
実は細かい違いはわかっていないんですが、TeX Live 2014 に比べると画像の読み込みが簡素化されました。便利です。
TeX の文書に画像を読み込むためには、事前に画像の大きさの情報(バウンディングボックス; bounding box)を用意しておかなくてはいけません。このために、ebb, xbb, extractbb などといったツールや mediabb.sty のようなパッケージが利用されてきました。
いつの頃からか、TeX のなかからこうした外部コマンドを起動する –shell-escape という仕掛けが用意され、この起動時オプションを利用することで、バウンディングボックスの作成は自動化されました。
ただ、この便利な –shell-escape は原理的には TeX から任意のコマンドを起動でき、セキュリティ的にはやっかいな存在です。そこで、デフォルトでは –shell-escape が利用できなかったり、利用できたとしてもバウンディングボックスを生成するコマンドは利用できなかったりしました。少しでも TeX を知っている人であれば、TeX をインストールしたあとに texmf.cnf を書き換えてこの制限を緩和する方法を試みたことでしょう。
TeX Live 2015 は初期設定で extractbb に –shell-escape を許しています。ということは、インストールしたままの状態で簡単に TeX 文書への画像の取り込みができるようになります。
このことは長年、TeX を利用してきたベテランよりも、むしろ、これから使い始める若い人にとって、あるいはその人々を指導する側にとって嬉しいことです。なにしろ、初心者には TeX をインストールすることだけを指示すればいいんですから。TeX システムを利用するにあたって、いきなりバウンディングボックスやら extractbb というコマンドを学ばなくてはいけなくて、そのためにはシェルが利用できなくてはいけないというのはかなり不幸な時代でした。
ようやく、ターミナルを一切、用いずに TeX を利用できる時代になったわけです。
周囲の方、特に若い方に TeX Live 2015 を薦めて下さい。