あるようなないような


昨夕は、強さを増す雨を背中に聞きながら、川上弘美のエッセイを読んでました。各作品とも数ページの本当に短いものなんですが、それをひとつずつ大事に大事にゆっくりと読み進んでいます。これはと思ったものは、妻に朗読してあげたりして。

ぼくが読んだ彼女の作品は夜の公園だけで、それもどんな内容だったか記憶になくて、でも、ただ不思議なぼんやりとした感覚が残っています。このエッセイは川上さんが新人賞を取ってから、芥川賞を受賞したころに書き溜めたようで、その独特の観察眼や着眼、少女時代に作文と対峙したこと、大学で文芸部をはじめたこと、大学院で図書館に逃避していたことなど、彼女がキャリアを積み上げた背景が描かれていて興味深いです。

でも、まるで散文的ではなく「あるようなないような」という表題らしく、また、彼女独特の捉え所のなさ加減が発揮されていてジワジワと面白いです。
まだ、半分くらいした読んでいないけれど。

昼下りにときどきうとうとしながら読み終えてしまった。なんかさびしい。