論文のなかでは多くの文献を引用します。こうした文献は通常、論文の一番最後にリストされます。それぞれの論文にはリストの順に番号を振り、読者が容易にその文献を手に入れられるように、できるだけ丁寧に出典の情報を記入します。
出典の情報としては、以下のようなものを記載します。
- 著者のリスト
- 論文や本のタイトル
- 雑誌論文の場合には、雑誌のタイトル、巻、号、ページ数
- 国際会議で発表された論文の場合には、国際会議の会議録の名称、ページ数、国際会議の開催場所
- 書籍の場合には出版者
- 出版年
- ウェブページの場合には URL と自分がそのページを見た日付
雑誌論文の例
以下は、A. Clauset, M. E. J. Newman, and C. Mooreの3人がPhysical Reviewという雑誌のEシリーズの雑誌に出版したFinding community structure in very large networksという論文についての出典情報です。この論文が、2004年に第70巻066111ページに掲載されたことが分ります。
A. Clauset, M. E. J. Newman, and C. Moore. Finding community structure in very large networks.Physical Review E, Vol. 70, p. 066111, 2004.
国際会議で発表された論文の例
以下の論文は J. Dean and M. R. Henzingerの二人が第8回World Wide Webに関する国際会議で発表したときの会議録 (Proceedings) に掲載された論文の出典情報です。この会議が1999年にカナダのトロントで開催され、論文が会議録の1467ページ〜1479ページに掲載されたことがわかります。Elsevier North-Holland, Inc. は会議録を出した出版者です。
J. Dean and M. R. Henzinger. Finding related pages in the world wide web. Proceedings of the 8th international conference on World Wide Web, pp. 1467-1479, Toronto, Canada, 1999. Elsevier North-Holland, Inc.
文献リストの作成
以下が前述の2つの論文を紹介する文献リストです。
\begin{thebibliography}{10}
\bibitem{Clauset04Finding-community-structure}
A.~Clauset, M.~E.~J. Newman, and C.~Moore.
\newblock Finding community structure in very large networks.
\newblock {\em Physical Review E}, Vol.~70, p. 066111, 2004.
\bibitem{Dean99Finding-related-pages}
J.~Dean and M.~R. Henzinger.
\newblock Finding related pages in the world wide web.
\newblock In {\em Proceedings of the 8th international conference on World Wide
Web}, pp. 1467--1479, Toronto, Canada, 1999. Elsevier North-Holland, Inc.
\end {thebibliography}
簡単に説明すると、文献リスト全体は\begin {thebibliography}
と\end {thebibliography}
コマンドで挟まれた領域に書き、各出典情報は\bibitem
コマンドを用いて記述します。
文献番号とそのラベル
\bibitem
コマンドは文献番号を出力するためのコマンドなのですが、このコマンドの引数はこの文献番号を参照するためのラベルです。上の例でいえば、Clauset らの論文の文献番号は [1] となり、DeanとHenzingerの論文の文献番号は[2]となります。そして、本文中ではそれぞれの文献をClauset04Finding-community-structure
やDean99Finding-related-pages
というラベルを用いて参照することができます。
文献の引用
上述のように作成した文献リストを本文中で引用するためには\cite
コマンドを利用します。たとえば、前述のClausetらの論文を以下のように引用することを考えてみましょう。
のちにClauset, Newman, Mooreはそれにデータ構造上の改善を施した提案を行った(CNMアルゴリズム) [2]。
Clausetらの論文の書誌情報には\bibitem
コマンドを使って、Clauset04Finding-community-structure
というラベルをつけました。platex の原稿のなかでは、このラベルを\cite
コマンドを使って以下のように参照することができます。
のちにClauset, Newman, Mooreはそれにデータ構造上の改善を施した提案を行った
(CNMアルゴリズム) \cite {Clauset04Finding-community-structure}。
文献データベースを用いた文献リストの作成
この例を見てわかるように、文献リストには多くの情報が含まれており、細かな指定をしなくてはなりません。文献リストを手作業できれいに作成することはかなりの負担です。多くの研究者は間違いやすい文献リストの作成を手作業で行うかわりに、文献データベースを使って自動的に文献リストを作成しています。
pLaTeXを使用する場合に用いられる文献データベースの形式を BibTeX 形式と言います。実習課題のなかの papers.bib というファイルが文献データベースにあたります。この文献データベースから文献リストを作成するには jbibtex コマンドを用います。文献リストの作成は難しいので今回の実習では、あらかじめ文献リストは paper.bbl というファイルで作成しておきました。
関連情報
以下の情報は TeX wiki から転載させていただきました。(感謝)